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     平成28年4月9日(土)
=司書と先生がつくる学校図書館
 
〜 本 を 読 む 喜 び を 届 け て 〜

講師:福岡 敦子氏



福岡敦子氏プロフィール

東京学芸大学卒業。小学校教員退職後司書資格取得、司書教諭講習修了。2001年より東京都中野区立小学校の非常勤学校図書館司書。地域では、旧保谷市(言東京都西東京市)社会教育委員、図書館協議会委員をつとめた。児童館で乳幼児お話会「コロリンたまご」を継続中。日本子どもの本研究会会員。児童図書館研究会会員。2015年12月『司書と先生がつくる学校図書館』(玉川大学出版部)を上梓。




講演会の様子


《講演要旨》
「教員養成大学を卒業して、小学校に三年間勤務しました。多くの子どもたちと出会い、かれらから多くのことを学びました。「子どもってすごい!」「どの子も素晴らしいものを持っている!」と実感するうちに、この子たちのためにできることは何かと考えるようになりました。
 小学校を退職して、地域で12年間様々な活動に取り組みました。子どもの読書の勉強会では鳥越信先生と出会い、大きな影響を受けました。良い本や物語との出会いが子どもたちの心の中にとどまり、長い年月を経て子どもの中で花開くときが来ること、年月がたっても、絵本や物語が子どもたちを支えてくれることを確信するようになりました。児童館では「コロリンたまご」を立ち上げ、人形劇や読み聞かせなどの活動を現在も続けています。
 その後小学校に復職し、学校司書として活動を始めました。学校現場では、「読み聞かせにふさわしい本がない!」「高学年が図書室に来ない!」という現実を目の当たりにしました。それでも読み聞かせは学ぶ力の基礎と確信していたので、担任の先生に頼んで、読み聞かせを始めることにしました。 
 学校司書の役割は、読み聞かせの体験をひとり読みへつなげていくこと、読書好きでない子たちの全体的な底上げをはかることです。ですから、読み聞かせではシリーズもの、ちょっと高いレベルの本も紹介し、すばなしもします。人気が出るので予約サービスにつなげ、どの子も借りられるようにします。また人形劇やパネルシアターを2年に一度実施しています。
 これらの取り組みを続けるうちに利用者が増え、貸し出しが増えてました。一方で、貸し出しが増えるだけでいいのかと疑問を持ち始めました。4年目からは、しおりやシールのプレゼントをやめ、いい本を丁寧に紹介するようにしました。
 一人当たりの貸出冊数は担任の先生の力がとても大きいです。図書室を利用し、學校司書を使ってもらうために、学年別、月別の利用教育一覧を作成、全担任と打ち合わせをして、図書室での授業を効率よく行えるようにしています。
 また、個人ごとの読書傾向を、きめ細かに把握しています。児童の読書の動機づけには、学校司書によるブックトークの効果が高いようです。高学年では、低学年から積み重ねてきた働きかけの効果が顕著に現れ、読書力の向上に直結していることが良く分かります。このように、自らの仕事の意味をいつも点検し改善しながら、日々の活動に生かしています。すでに出版されているブックリストなどを参考にし、自分用に感想や紹介文などをまとめたカードを作成して活用していくと便利です。みなさんもいろいろ工夫をしながら、実践してみてください。」
 福岡先生は、実際に活用されているワークシートやおすすめの図書を数多く紹介してくださいました。先生の明るいお人柄のうしろに、長年の先生のたゆまぬ努力と工夫を間近に感じることができ、参加者から惜しみない拍手が送られました。



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