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子どもに読書のよろこびを




  

                   

1  617() 午前の部:10:00〜12:00  午後の部:13:00〜15:00

午前 ドイツの子どもの本の歴史  古典〜 
   

午後 ドイツの子どもの本の歴史  〜現代 
   


講師  酒寄進一(さかより しんいち)氏
・上智大学、ケルン大学、ミュンスター大学に学ぶ。現在、和光大学教授。児童書を中心に現代ドイツ文学の研究紹介を行っている。主な訳書に『ネシャン・サーガ』全3巻(あすなろ書房)『ベルリン』3部作(理論社)、『暁の円卓』全9巻(長崎出版)、『ちきゅうの子どもたち』(ほるぷ出版)、『ちびドラゴンのおくりもの』(国土社)ほか多数。



  

★当日の講座風景・・・聞きもらすまいとする皆さんの熱意が伝わってきます!

講座レポート

酒寄先生の講義は、テンポも歯切れもよく、とても聞きやすいものでした。
ドイツの子どもの本を、その時代背景の中で読み解いていく、という内容の濃いものだったにも関わらず、たくさんの受講生から「あっという間の一日でした」という声が聞かれました。受講生の中で一番遠くからいらした方は、神戸からで、その意欲に頭が下がりました。
 一人一人の作家をその生まれた年、育った時、また作品が生まれた必然性などからお話してくださり、またそれらが歴史の流れの中でどんな風に移り変わっていったかが見えてきて、わくわくしました。
 それにそれは、酒寄先生の持っている知識のほんの一部なんだ、というのが感じられて、その奥にあるお話ももっともっと聞きたくなりました。一日では到底語り尽くせないのでしょう・・・。

 翻訳をなさっている時が一番楽しい、とおっしゃる酒寄先生。
いつかまた是非、お話を聞かせていただきたい、と思いました。

※詳しい講座報告は、会報「ダンボのみみ 21号」に掲載されています。
   
《受講生アンケートより》

先生の誠意あふれる講座、とても楽しく、1回で終わるのは残念です。
時代背景を聞くと、こんなにも物語の内容が深く感じられると驚いた。
内容が濃く深く、人類の歴史を紐解きながらの文学話に、心を打たれた。





2  721() 午前の部:10:00〜12:00  午後の部:13:00〜15:00

午前 私の訳した作家たちとの出会い  
        ケストナー、エン
、プロイスラーとの世界とドイツの風土 
   

午後 ドイツの絵本について  
       
ドイツ絵本の歴史から
、現代絵本事情 
   


佐々木田鶴子(ささき たづこ)氏
早稲田大学文学部卒。ドイツに6年間留学後、多数のドイツ児童文学や絵本の翻訳・研究に従事。 訳書に『エンデ全集』(共訳/岩波書店)、『プロイスラ−の昔話』(全3巻)(小峰書店)、『グリム童話集』(上下巻)(岩波少年文庫)、『わたしの足は車いす』(あかね書房)など多数。


★エンデとの家族ぐるみの交流など、興味深いお話をたくさんして頂きました。

                        講座レポート

佐々木先生はバイエルン地方、ミュンヘンに約7年間滞在し、その間ケストナ−、エンデ夫妻、プロイスラ−、ワッツさんたちと直接お会いになり、親交を深められました。各作家・画家との交流のお話は、佐々木先生のお人柄が滲みでた愉しい内容でした。
 また、ミュンヘンの国際児童図書館日本部門の立ち上げから関わり、講座の1ヵ月前に開催された周年事業に参列され、ホットな情報をお持ちになって帰国されたばかりでした。
 ドイツは、森や湖が多い風土です。そのため、水や山の精や山奥に棲む老婆(女性の賢者)などの存在を長く信じてきたドイツ人の信仰と、イギリス・フランス・日本などとの違いの話を、ドイツ生活の思い出から話されました。
 ドイツの子どもの本の歴史は絵本から始まり、有名な古典作品も多いとのことなので、ベルリンコレクションの5作品を回覧してご覧頂きました。古典の素晴らしさをそれぞれにお感じになったことだと思います。
 現代のドイツの子どもの本の傾向は、社会的な問題意識が高い作品が多いので、なかなか日本へ入ってこないのは少し残念とおしゃっていました。



※詳しい講座報告は、会報「ダンボのみみ 21号」に掲載されています。





3  826() 午前の部:10:00〜12:00  午後の部:13:00〜15:00

午前 グリムの昔話  その成り立ちと魅力  講師:吉原素子氏
   

 現代のドイツの子どもの本と昔話  講師:吉原高志
   


吉原素子(よしはら もとこ)氏
1962年生まれ。東京大学大学院博士課程修了。ドイツ文学専攻。関東学院大学、立教大学非常勤講師。編著書に『初版グリム童話集全4巻』『聞いて読む初版グリム童話』(共編著・白水社)訳書に『ゼバスチアンからの電話』(共訳・ベネッセ)『ティナのおるすばん』『ぼくがげんきにしてあげる』(徳間書店)など。


     ★先生から、嬉しいサプライズ!グリムのおはなしを三話も語って下さいました!


                       講座レポート

グリム童話集の初版が刊行された1812年からちょうど200年目の今年、吉原先生をお迎えして、グリムの昔話についての興味深いお話を伺いました。
 童話集初版刊行以降、グリム兄弟の晩年に至るまで、グリム童話集は7版まで版が改められ、話の数も増えています。また、同じ話でも初版と7版ではずいぶん変わっていきました。吉原素子先生は、最初に初版本のテキストで「かえるの王さま または鉄のハインリッヒ」と「三羽のからす」の2話を語ってくださいました!先生ご自身の語りを聞くことができようとは、思ってもいませんでしたので、一同大喜びでした。講義の最後には、7版の「七羽のからす」を語っていただき、初版の「三羽のからす」から7版の「七羽のからす」への変遷を、具体的に耳で聴き比べることができました。
 グリム童話集各版の比較研究を通じて、グリム兄弟の昔話収集の姿勢、その昔話研究における位置と意義、近年のグリム研究における批判的な意見などもご紹介いただき、改めてグリムの昔話を読み返し、じっくり味わってみたいと思った2時間でした。



※詳しい講座報告は、会報「ダンボのみみ 21号」に掲載されています。



吉原高志(よしはら たかし)
1953年生まれ。東京外語大学大学院修士課程修了。ドイツ文学専攻。関東学院大学教授。編著書に『初版グリム童話集全4巻』『聞いて読む初版グリム童話』(共編著・白水社)訳書に『そらとぶソーセージとさんびきのくま』『空のない星』(ベネッセ)『およげ、ぼくのコイ』『いっしょがいちばん』(徳間書店)など。


         ★ドイツの子どもの本の奥行きの深さに、驚かされた二時間でした。

講座レポート

午後の吉原高志先生の講座は、ドイツの子どもの本とメルヘンについてアカデミックにお話してくださり、大変興味深くあっという間に2時間が過ぎてしまいました。
 ケストナーの全集7巻のうち5巻が大人の本だそうですが、子どもの本のほうは、「欠如」と「加害」があり、その「解消」で終わるという、ほぼメルヘンといえるストーリーになっているとのことです。いっぽう大人の本では『ファービアン』という傑作がありますが、こちらはアンチメルヘン、つまりハッピーエンドでは終わっていない。カフカの『変身』にも言及して、特に20世紀のドイツの子どもの本がメルヘンからリアリズムにいたるお話をしていただきました。
 アンチメルヘンの子どもの本もたくさん紹介してくださり、「読んでみたい本」のリストが更に増えた講座でした。

※詳しい講座報告は、会報「ダンボのみみ 21号」に掲載されています。






4  98() 午前の部:10:00〜12:00  午後の部:13:00〜15:00

午前 ケストナーの作品と生涯 ー冬の時代を生き抜くー  
                   講師:池田香代子氏

午後 大人のためのおはなし会 ードイツのおはなしー  
                   語り手:望月みどり氏

   


池田香代子(いけだ かよこ)氏
1948年生まれ。都立大学卒業。ドイツ文学翻訳家・口承文芸研究家。グリム童話についての著作・翻訳。訳書にゴルデル『ソフィーの世界』(NHK出版)、ケストナー『エーミールと探偵たち』『飛ぶ教室』(岩波書店)、など多数。再話に『世界がもし100人の村だったら』(マガジンハウス)。98年第1回日独翻訳賞を受賞



★波乱万丈なケストナーの人生・・・まだまだ聞き足りないとの溜息がもれる会場です。



                               講座レポート

最終回はケストナーの作品と生涯 ―冬の時代を生き抜く―と題して
池田香代子氏に、ケストナーの作品が生まれた時代背景と共に語って頂きました。
ケストナーが生まれ、生きた時代、二度の戦争やナチスの時代など暗い冬の時代、家族との関係やたくさんのエピソードなどなど、ケストナーの人間像が浮かび上がる興味深いおはなしでした。
また、その中から生まれてきた数々の作品についてのていねいな解説と、池田氏が翻訳をするに至った経緯などをユーモアを交えて語って頂き、2時間では、池田氏も語り足りないにではないか、聞き手ももっともっと聞きたいと感じた講座でした。
そして、池田氏訳のケストナーの作品を改めてゆっくりと読みたいと思いました。
池田氏の講演の中で印象に残った言葉
   「こどもは幸せでないと発育不全になる」
   「子どもの時代を子供らしく過ごす」


※詳しい講座報告は、会報「ダンボのみみ 21号」に掲載されています。





望月みどり(もちづき みどり)氏
東京の下町深川生まれ。「ねりまおはなしの会」「Yペンスの会」会員。各県や市、社会教育関係の「ストーリー・テリング講座」の講師として人材の育成に努め、各地の図書館、小学校、幼稚園、保育園等でお話を語り、お話の楽しさを伝えている。小澤俊夫氏が主宰する全国昔ばなし大学講座の語り手としても大事な責任を担っている。



★「むかしむかし・・・」という言葉と共に、あっという間に、ドイツの黒い森の世界に・・・



                               講座レポート

講座の最後は望月みどり先生の「大人のためのおはなし会」でした。グリム童話を中心にドイツのお話を語られ、望月先生の快い語りから紡ぎだされてくる神秘的なお話の世界に魅了され、時間の経つのも忘れました。
 また、お話の合間に話されるさりげないエピソードも、次のお話の世界へと自然と誘われていって、とても楽しく印象に残りました。
当日のプログラムは次の通りです。

1. おいしいおかゆ  『おはなしのろうそく1』      東京子ども図書館
2. 灰かぶり     『1812初版 グリム童話上』     小学館
3. カエルの王様   『一つ目二つ目三つ目』       子ども文庫の会
4. きつねとがちょうたち 『語るためのグリム童話5』   小峰書店
5. ガチョウ番の娘  『おはなしのろうそく3』      東京こども図書館
6. ふしぎなオルガン 『ふしぎなオルガン』        岩波少年文庫


「灰かぶり」は珍しいグリム初版本からのお話で、娘の切ない思いが心にしみましたし、「ガチョウ番の娘」では、不遇にあっても凛とした王女の姿が立ち上がってきました。ユーモアのあるコミカルなお話「きつねとがちょうたち」は、会場の笑いを誘うなど、バラエティのあるプログラムで、「ふしぎなオルガン」の静かに鳴り響くオルガンの余韻の中でおはなし会は終了しました。


※詳しい講座報告は、会報「ダンボのみみ 21号」に掲載されています。






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