ナチはこんなこともやっていたのか!と初めて知り、驚きました。
第二次大戦中、ドイツに占領されたポーランド西部の町々では、20万人以上と言われる、2歳~14歳のポーランド人の少年少女がナチによってさらわれたのです。幼児誘拐はポーランドに限らず、周りの国々にも及びましたが、その目的は戦争によって失われた最も優秀なアーリア民族の血を補うことでした。ですからポーランドから誘拐された子どもたちは皆金髪青い目で、ドイツ人家庭の養子となり、ドイツ名を付けられて、ドイツ人として育てられたのです。
この本の著者も4歳の時、ナチにされわれ、ドイツの孤児院に入れられ、ドイツ人の家庭でアルフレートという名前を付けられてドイツ人としての誇りと、他の民族に対する差別意識を植え付けられます。家庭の中では可愛がられ、愛されて育ちますが、戦後11歳の時自分が誇り高きドイツ人ではなく、最も下等だと考えて来たポーランド人だったと知り、衝撃を受けるのです。著者が真実を知るに至ったには、実の母親の執念ともいえる、自分の子を必ず取り戻すという強い思いがありました。この自伝はナチが行った戦争犯罪を記録する貴重な歴史です。
|