みほちゃんは、となりのせきのますだくんが、大の苦手。怪獣みたい!
自分勝手なルールを作っていばったり、算数が嫌いなみほちゃんの計算方法を笑ったり、給食をのこすと大声で先生に言いつけたり。でもますだくんは、みほちゃんが気になってしかたがないのです。関心を引こうと、ついついちょっかいを出して、ハイテンションになってしまう。 そんなますだくんに、みほちゃんの心はますますブルーに。
ふたりのかみ合わない心が痛いほど伝わってきます。みほちゃんの心細い微妙な心の変化を、連続したコマ割りや紫色や無彩色の色調で表したり、手書きのモノローグを多用したりして効果的に描いています。
一方でますだくんの登場場面は、赤やオレンジやピンクを背景に、みほちゃんの気を引こうとする強気のますだくんのテンションが伝わってきて微笑ましくもなります。
内気で学校に不慣れな子には、仲良しの友達を作るのはむずかしい。作者はそんな気持を汲んで、丁寧に描いていて、心が温かくなります。不器用なますだくん、少し力をぬいて! みほちゃんだって、最後には強くなりました。「いじめるから、いや」とちゃんと言い切っています。
子どもの心にしっかりと寄り添っている作者の細やかな配慮が画風に伝わってくる絵本で、声に出して読むと、ことばのリズムと絵のハーモニーが.まことにしっくりといっているのに気が付きます。こんな時期を過ぎてしまった子どもたちには、ほっこりと懐かしく、他者の思いに気づかされてくれる本でもあります。
30年前に描かれているのに、今もって子ども達に人気の絵本です。
|