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おすすめ本です!
のぞいてみて下さい!


この本, よんで! Part.2

このコーナーでは、2023年からリニューアルした
栃木子どもの本の講座の講義の中で取り上げられた本を紹介いたします。
                
2023年のテーマは「私が語る絵本の魅力」です。このコーナーでは講義の中で取り上げられた本をごく一部ではありますが、紹介します。
                        
 =2023=  現代の子どもの本  『私が語る絵本の魅力』

おすすめ本!

松本 猛氏の講座

 題名  作者    出版社
『となりのせきのますだくん』 武田美穂 ポプラ社

みほちゃんは、となりのせきのますだくんが、大の苦手。怪獣みたい!

自分勝手なルールを作っていばったり、算数が嫌いなみほちゃんの計算方法を笑ったり、給食をのこすと大声で先生に言いつけたり。でもますだくんは、みほちゃんが気になってしかたがないのです。関心を引こうと、ついついちょっかいを出して、ハイテンションになってしまう。 そんなますだくんに、みほちゃんの心はますますブルーに。

ふたりのかみ合わない心が痛いほど伝わってきます。みほちゃんの心細い微妙な心の変化を、連続したコマ割りや紫色や無彩色の色調で表したり、手書きのモノローグを多用したりして効果的に描いています。

一方でますだくんの登場場面は、赤やオレンジやピンクを背景に、みほちゃんの気を引こうとする強気のますだくんのテンションが伝わってきて微笑ましくもなります。

内気で学校に不慣れな子には、仲良しの友達を作るのはむずかしい。作者はそんな気持を汲んで、丁寧に描いていて、心が温かくなります。不器用なますだくん、少し力をぬいて! みほちゃんだって、最後には強くなりました。「いじめるから、いや」とちゃんと言い切っています。

子どもの心にしっかりと寄り添っている作者の細やかな配慮が画風に伝わってくる絵本で、声に出して読むと、ことばのリズムと絵のハーモニーが.まことにしっくりといっているのに気が付きます。こんな時期を過ぎてしまった子どもたちには、ほっこりと懐かしく、他者の思いに気づかされてくれる本でもあります。

30年前に描かれているのに、今もって子ども達に人気の絵本です。 

 題名  作者    出版社
『ちひろ美術館の窓から ―母いわさきちひろ、東山魁夷、絵本画家を語る』 松本猛 かもがわ出版

世界で初めての絵本専門美術館としてちひろ美術館(東京)、安曇野ちひろ美術館(長野)を創設し、館長を歴任した著者の、2つの美術館を開館するに至った思いや経緯を知ることができる本です。

また、赤羽末吉や安野光雅、エリックカールなど普段よく目にする絵本作家で、ちひろ美術館に所蔵しているたくさんの絵本原画コレクションも、絵本・美術評論家としての目線から詳しく著しています。なかでも、著者の母いわさきちひろの作品やエピソード、東山魁夷美術館(現:長野県立美術館)の館長も勤めた著者ならではの紹介は興味深いものがあります。

 題名  作者    出版社
『14ひきのあさごはん』 いわむらかずお 童心社

大人気の「14ひきシリーズ」の初めの作品。

いつもと変わらない森の朝。1番の早起きは、野ねずみのおじいさん。おばあさんもお母さんも家族みんなが次々に目を覚まし身支度を整えると、みんなで朝ご飯の準備を始めます。かまどでパンを焼いたり、野いちごを摘みに出かけたり…。

家族みんなに大切な役割があり、協力しながら準備を進め、やがて準備が整うと、家族全員で食卓を囲みます。家族と自然に囲まれた何気ない日常が、こんなに豊かで幸せなものであることをあらためて感じさせてくれます。

14ひきシリーズは世界中で翻訳され、たくさんの読者を魅了しています。

14ひきのみんなが大きく伸びをしている本のカバーを外してみると、表紙では体操を始めるしかけも、いわむらさんのこだわりの1つです。

 題名  作者  出版社
『絵で見る 日本の歴史』  西村繁男 福音館書店

 27×31㎝の大判横長の本の見開き1枚の絵で、日本の歴史が描かれている。10万年以上前、まだ大陸と地続きだった氷河期から始まり、5000年前と4000年前の縄文時代、2000年前の弥生時代、そして5世紀ころの古墳時代、奈良時代、平安時代、鎌倉時代、室町時代、戦国時代、安土桃山時代、1718世紀の江戸時代と時代は下って、江戸時代末期19世紀は丁寧に5枚の絵を費やしている。さらに明治、大正、昭和、現代と日本の歴史が概観できる。昭和は戦中、戦後すぐ、復興が始まった頃と3枚の絵。そして現代は広島の街で終わっている。そこにも作者の意図が感じられる。説明文は短いが、最後の解説を読めば、さらに詳しくわかる。絵が圧巻で、細かい部分を見ていると飽きない。

松本先生が、この本を歴史の教科書として使ったらいいのに、おっしゃったが、本当にそう。この絵本を元に、詳しく説明してもらったら、勉強が楽しいだろうな。 

 題名  作者  絵  出版社
『百年の家 J・パトリック・
ルイス
ロベルト・
インノチェンティ
講談社

 この絵本は、イタリアの田舎にあった廃屋を、100年間定点観測で見つめ続けたという設定の絵本です。

主人公は、1656年に丘の上に建てられた小さな石造りの家。この家が子どもたちに発見されるところから始まり、暮らしを営む人びとに改築されて、戦火から守り、そして朽ち果てていくまでの100年間の歴史を描いています。

家そのものの変化も細かく描かれていますが、周りのブドウ畑や結婚式のにぎやかさ(ここに並んでいるワインのボトルでトスカーナ州のキャンティー地方だと分かる)など、時間や時代の変化までも読むことができます。なかでも家の壁や窓に写り込む戦火は、人びとの表情もさることながら息をのむような1ページです。 



護得久 えみ子氏の講座

 作者  絵  出版社
『はなをくんくん』 ルース・クラウス マーク・
シーモント
福音館書店

 白黒で描かれた絵。雪のふる冬の野原や森。くま、かたつむり、りす、みんな眠っています。まるで寝息が聞こえてくるみたいです。ところが、みんないっせいに目をさまし、鼻をくんくんさせてかけだします。そして立ちどまると、真っ白な雪の中に黄色い花が1輪咲いています。白黒の絵の中にポツンと咲く黄色い花。春の訪れが嬉しい絵本です。

 題名  作者  絵  出版社
『トヤのひっこし』 イチンノロブ・
ガンバートル
バーサンスレン・ボロルマー 福音館書店

モンゴルの遊牧民の生活を、トヤという少女の目を通して生き生きと描いています。

大自然の中で生きる遊牧民の暮らし、草原と湖を求めて季節ごとに繰り返される引っ越し、どのページにも見開きいっぱいにモンゴルの広い草原や、大自然の中でのトヤとその家族の暮らしが細やかに丁寧に描かれています。

また、トヤとお兄ちゃんの会話やお父さん、お母さんとの会話に温かく優しい家族の関係が感じられ、心が温かくなります。

どのページにもストーリーとは直接関係はないけれど・・・小さな動物や草花などがたくさん描かれていて、どうぞ目を凝らしてさがしてください。絵を読むという魅力にあふれた絵本です。

 題名  作者  絵  出版社
『タコやん』 富安陽子 南伸坊 福音館書店

ある日ドアからヌルリンチョと入ってきたのはタコのタコやんです。しょうちゃんはタコやんと遊びます。タコやんは8本の足でゲームも、サッカーもかくれんぼでも大活躍。「タコやん、すっげぇ!」としょうちゃんのともだちはみんなびっくり。がみがみおじさんや大きな犬も出てくるけれど、「タコやんがんばれ!」。子どもたちと読んでいると、「タコやん、すっげぇ!」の大合唱になりました。声に出すとリズムがとても気持ちいい本です。最後は哀愁さえも漂い、「タコやんまたきっときてね」と心から思ってしまいます。

「タコやんの、ノタコラ ペタコラやってきてがすごく好き。」と護得久さんは富安さんとの対談で話しています。ぜひ子どもたちと声に出して読んでみてください。そして南伸坊さんの絵もすみずみまで楽しんでください。





                            


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