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栃木子どもの本連絡会 研修交流会
図書館の管理運営のあり方を考える
〜「指定管理者制度」と子どもの読書・住民サービスの保障〜
講師:松岡 要氏 |
平成26年4月5日(土)、栃木子どもの本連絡会では、総会後に元日本図書館協会事務局長の松岡要さんをお迎えして「図書館の管理運営のあり方を考える」と題した研修交流会を開催しました。私たちも県内公共図書館で加速度的に進む指定管理者制度導入への危機感から、リーフレット『学校図書館を考えるシリーズその12』を作成しました。今回お話を伺って、さらに考えて行く必要があると思いました。
― 松岡 要氏のプロフィール ―
1946年愛知県生まれ。
元目黒区職員(元目黒本町図書館長)。
元日本図書館協会事務局長。
『新図書館法と現代の図書館』(日本図書館協会)
他著書多数。 |
講演会の様子
《講演要旨》
松岡さんは多くの資料を元に、まず図書館の役割は住民に対する資料、情報を提供する社会的な仕組み、制度である、ということからお話を始められました。またそれは、生涯学習の基礎でもあると。つまり図書館は@知識基盤社会における知識・情報の重要性を踏まえ、資料や情報の提供等の利用者及び住民に対する直接的なサービスの実施A読書活動の振興を担う機関B地域の情報拠点、である。その図書館事業を実現させるためには制度的保障が必要であり、今回テーマとなっている、指定管理者にこれらのことがどこまで可能なのかが問題である、ということでした。指定管理者制度は、2003年に突然提起された制度で、それ以前は指定管理者は公共的団体に限定されていたのが、ここで「官から民へ」の流れの中で、民間にも委託されるようになったそうです。この制度については、1986年の時点で海部俊樹文部大臣が既に「図書館法の規定から見ても公立図書館の基幹的な業務については、これは民間の委託になじまない」と答弁しており、その後2003年に「館長業務等を含めて全面的な管理運営の民間委託が可能である」とされたものの、2008年には審議会での文部科学大臣答弁で「[指定管理者制度は]長期的視野に立った運営の図書館ということにはなじまない」、また国会附帯決議では「指定管理者制度の導入による弊害についても十分配慮して、適切な管理運営体制の構築を目指すこと」となっています。導入の目的が経費の節減を図ることにばかり比重が置かれていることも問題です。栃木県での公立図書館へのこの制度導入率は約43%と高く、全国一位ということです。これが何を意味するのか、今後もしっかり見て行きたいものです。
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