栃木子どもの本連絡会 学習交流会=2019・2=
2019年2月10日(日)
『読みたい心に火をつけろ!
〜専任・専門・正規の学校司書ができること〜』
木下通子氏(埼玉県立高等学校図書館担当部長兼主任司書)
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現在、埼玉県立高校の学校司書として大活躍の木下さん。岩波ジュニア新書『読みたい心に火をつけろ!』ですっかりおなじみの木下さんのお話は、本での語り口そのまま!生徒と本をつなげることに注力されたエネルギーに満ち溢れたものでした。当日は、県内から図書ボランティアや学校司書、図書館関係者など総勢40名が集まり、大盛況でした。
講話の冒頭で、20代の木下さんと市民グループのボランティアたちとの出会いが今につながっています、というお話がありました。読み聞かせにふさわしい絵本の知識や年齢にあった絵本の選び方など、ボランティアの方たちに教わり育ててもらって今がある、会場の皆さんもこれからも頑張ってほしいと、力強くおっしゃいました。
●学校司書が発揮すべき専門性とは?
@本の良さを伝える
=まずはひたすら読むこと。読み物だけでなく、授業に必要な資料に精通していることも大切です。
Aフロアーワーク
=図書館を訪れる生徒の「本のソムリエ」になること。生徒のニーズに応えるだけでなく、読んでほしい本を示してあげられることも必要です。
B読みやすい図書館だよりの作成
=生徒が求めている本、発達段階や理解の程度に合わせて作成された図書館だよりであること。
でも、@からBの仕事の根幹は「選書」です!「選書」は、利用者が必要としている資料、知りたい気持ちに応え、その先にある世界を広げてくれる資料を選ぶことに尽きます。
●読書に関わる学校図書館の役割とは?
@生徒個人の読書を支える=楽しみのための読書を支援すること
A学校教育課程の展開に寄与する=読解力や思考力を身につけるために
でも、一番大切なのは・・、
B子どもたちにとって、学校図書館が「生きていくための情報」を得られる場所であること
子どもたちの図書館利用は、年齢が上がるにしたがって公共図書館から学校図書館なりますが、学校の卒業後は再び公共図書館を利用します。このような生涯学習の枠組みの中で学校図書館をとらえると、学校図書館は、すべての児童、生徒が「必ず行けること」「安全で守られていること」「無料で利用できる」施設といえます。現代の日本では、子どもたちが巻きこまれる痛ましい事件があとを絶ちません。そんな子どもたちにとっても学校図書館は生きていくための知識や知恵を身に付け、必要な情報を得る場でもあり、困ったときには、無条件に助けてくれる存在でもあります。
学校図書館はすべての子どもたちが利用できます。そこで読書の楽しみを知り、好きなことに出会い、深め、得意なことを伸ばせる可能性が無限にひろがっています。
そんな学校図書館にはやはり、専任、専門、正規の学校司書が必要なのです!
学校司書ができることは、本当に無限です。栃木子どもの本連絡会では、専任・専門・正規の学校司書の配置を求める活動を続けていますが、改めて活動の意義を再確認し、励まされた時間となりました。
木下先生、ありがとうございました!
■木下通子さんプロフィール■
1985年に埼玉県の司書として採用される。現在、埼玉県立浦和第一女子高校図書館担当部長兼主任司書。
ビブリオバトル普及委員、埼玉県高校図書館フェスティバル実行委員長、学校図書館問題研究会事務局次長等、図書館関係の研究会の活動に携わるほか、3人の子どもの子育ての経験から地元で育児支援などの活動に関わっている。
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