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おすすめ本です!
のぞいてみて下さい!



                      

子どもと本を結ぶ活動を進めていく上で、子ども達にとって身近で大きな存在の学校図書館の問題は避けて通れない課題です。連絡会では1991年2月に「学校図書館問題を考える」第1回目の勉強会をスタートさせ、その後、年1、2回の勉強会を重ね、サマースクールでも分科会・全体会などで学校図書館問題を取り上げてきました。

 そうした活動を続けていく中で、学校図書館が抱えている問題の大きさゆえに、連絡会の年間活動の1つとしてやるのでなく、専門部会を立ち上げて学校図書館のことを考えていこうという事で、2001年(平成13年)に「学校図書館を考えるプロジェクト」が発足しました。

 主な活動は、学習交流会の開催や、その時々の学校図書館問題についての考察をするためのリーフレットを年1回発行することなどです。(リーフレットの内容に関しては別窓でご覧下さい)活動のメンバーは運営委員を中心とした会員で構成されています。

                       

   過去の学習交流会のレポートをご覧いただけます。

学習交流会   2019.2
講師:木下通子氏
 2017 .11
講師:梅本恵氏
 2017 .4
学校図書館Pメンバー
 
 2016
講師:福岡敦子氏
 2015
講師:近藤君子氏
 2014
講師:松岡要氏
 2013
講師:水越規容子氏



栃木子どもの本連絡会 学習交流会=2021・2=

2021年2月28日(日)

『未来を生きる子ども達に、今、何が必要か』 !
 
-学校図書館が果たす役割-

福田孝子氏(東京学芸大学非常勤講師) 
            
            


 現コロナ禍で開催が延期されていた学校図書館プロジェクトの学習交流会が、対面で開催することが出来ました。 現在、全国学校図書館協議会学校図書館スーパーバイザーを務めている福田先生。 長年、司書教諭として小学校で図書館運営にあたり、埼玉県三郷市立前谷小学校の時には文部科学大臣表彰を受けました。 『初めての読書指導アイディア25+5〈小学校編〉』(全国学校図書館協議会)の著者である福田先生の本領発揮となる今回の講演会は、『不思議おもちゃ工作』にも載っているパタパタを使っての自己紹介で始まりました。これを見て、「どうなってるの?」「やりたい!」「作ってみたい」と関心の持てる子を育てるために、大人たちは何をすればいいのかが語られました。

子どもたちを取り巻く現状
  現在社会は、society4.0と呼ばれる情報社会。今後はsociety5.0(仮想空間と現実空間が融合した社会)となるであろう、シンギュラリティ(AIが人間の思考を超える技術的特異点)へ向かって進んでいます。 こういう時代に求められる人材像と学びの在り方で共通に求められる力として、 ① 文章や情報を正確に読み解き、対話する力 =読解力 ② 科学的に思考・吟味し活用する力 = 思考力 ③ 価値を見つけ生み出す感性と力、好奇心、探求力 としています。これにプラスして④想像力が入ると福田先生は考えています。


変わる授業
 子どもたちに求められる力①言語能力②情報活用能力③問題発見解決能力を、全教科を通じての学習の基盤となるように とされています。 また、教員に求められる授業の在り方として、学びの主体は子どもであるということです。教師が一方的に知識を教える(暗記再生型)のではなく、思考発信型へ。教師中心から子ども中心の授業への転換が求められています。そのためには、学校図書館の活用が必然になってきているわけです。


 学校図書館は教育のインフラ  
学校図書館の大きな3つの機能
① 読書センター 本が置いてあるだけ 鍵が締まっている ⇒ 利用されるようになる
② 学習センター 調べ学習など、授業で利用されるようになる
③ 情報センター たくさんの資料の中から必要なものを探し出し、利用できるようになる        →ICTの活用 タブレット上に学校図書館関連のアイコンがある               (蔵書検索・読書記録・パスファインダー・カードなど)
       →
大容量無線LANの整備は最重要課題
と、学校図書館の充実した利用がステップアップしてきています。 全教科総合学習のように、教科横断的な視点に立つ学びを子どもに求め、子どもの主体的・対話的で深い学びへの授業改善を教師に求める学習指導要領の下、学習センター・情報センターとしての学校図書館が健全に活用されるためには、
司書教諭の活動+学校司書の存在が不可欠です。

コロナ禍で注目されたオンライン授業
〈GIGAスクール構想(Global and Innovation Gateway for All)〉は
 ・だれ一人取り残すことなく子どもたち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む教育
 ・ICT(Information and Communication Technology)環境の実現に向けた施策です。 ICT(情報通信技術)の学びへの活用として、‟すぐにでも”“どの教科でも”“誰でも”使えるとなっています。1人1台の端末であれば一人一人が自分の意見を言いやすくなり、意見交換がやりやすくなる上、双方向授業も可能になるとされています。

不読払拭の必要性  
 子どもが言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、想像力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身につけていく上で欠くことのできないものである読書活動。量は向上しているものの、能動的な読書で自分の考えの形成に生かしていくところまでには達していません。また高校生の不読は高止まりし、忙しくて読む時間がない以外にも「複雑な文章が理解できない」「何を読んだらいいかわからない」など、身近な大人の関わり次第で改善できると思われます。最も重要な人は子ども達の発達段階を理解している学級担任です。教員にも不読者が多い中、それを支えるのが学校司書の重要な役割の一つでしょう。 語彙の質・量の差はそのまま学力・思考力の差につながると言われています。幼少期から2000~7000語の個人差が出始め、差は縮まらないどころか開く一方。語彙獲得のカギは耳から聞くこと。読み聞かせは有効な手段で、高学年や中学生にも必要です。長編の読み聞かせを行ったクラスでは、子ども自身で長編を手に取る傾向が見られることもあります。 大学生に聞く不読の後悔は、「思考の深化が出来ない」ことで、「関心が広がらない」など就職面接などで語る出来事・言葉を持っていないことに気づいて初めて、もっと本を読んでおけばよかったと思い至るそうです。

 今回の講演会は、学校図書館司書向けの面が強かったように思います。 しかし、一般の父兄やボランティアも知っておかなければ、これからの子どもたちに何を差し出すかの判断ができないのではないかと思いました。 今の職業の半分が無くなると言われる近い未来。 その職業についている大人たちには想像もできないことです。 「大人は子どもにとって環境です。」 落合恵子さんの言葉です。 激甚災害を引き起こす自然環境の変化だけでも人間にとって脅威であるのに、 私たち大人までもが子どもの脅威にならないよう、分からないなりにも分かろうと努力する姿くらいは子どもたちに見せられる大人でありたいと思いました。


 

 

  ■福田孝子(ふくたたかこ)さんプロフィール■

長年、司書教諭として小学校で図書館運営にあたり、埼玉県三郷市立前谷小学校では、「平成18年度子どもの読書活動優良実践校」として文部科学大臣表彰を受ける。現在、三郷市教育委員会読書活動支援員、東京学芸大学非常勤講師、全国学校図館協議会学校図書館スーパーバイザー。第四次子供の読書活動に関する推進計画有識者会議に参加。 主な著書に、『初めての読書指導アイディア25+5〈小学校編〉』(全国学校図書館協議会)、共著に『学校経営と学校図書館 新訂版』(放送大学教育振興会)、『司書教諭・学校司書のための学校図書館必携 改訂版』(悠光堂) に埼玉県の司書として採用される。現在、埼玉県立浦和第一女子高校図書館担当部長兼主任司書。

ビブリオバトル普及委員、埼玉県高校図書館フェスティバル実行委員長、学校図書館問題研究会事務局次長等、図書館関係の研究会の活動に携わるほか、3人の子どもの子育ての経験から地元で育児支援などの活動に関わっている。




 
「学校図書館を考えるプロジェクト」では、一緒に活動して下さるメンバーを随時募集しています。月1回不定期、宇都宮市内図書館にて活動中です。皆様のご参加をお待ちしております!


学校図書館を考えるシリーズ


 その1   その2   その3   その4  その5
 その6   その7   その8  その9  その10
  その11   その12   その13  その14
 その15
   
  その16
  
 その17
  
     




年 月 テーマ 備考
平成13年12月 生きた学校図書館をめざして 講師 石井 宗雄氏
(全国学校図書館協議会事務局長)
平成14年11月 学校図書館の可能性 講師 竹内 悊氏
(日本図書館協会理事長)
平成15年
6月、7月
学校図書館フォーラム(全3回) 講師 安達 みのり氏  
    蔵元 和子氏
平成16年 学校図書館ビデオリレー
  小山・田沼・宇都宮・鹿沼地区
平成17年 子ども読書活動支援ボランティアアンケート委託事業
平成19年2月 学校図書館の現場は
    今、どうなっているの?
3名の学校司書さんからの報告 
平成20年1月 学校図書館の現場は
    今、どうなっているの?
・パート2  中学校では
3名の中学校司書さんからの報告 チラシ
平成21年2月 公立図書館の
    指定管理者制度って?
講師 松岡 要氏
(日本図書館協会事務局長)
 チラシ
平成22年2月 宇都宮市のいきいき学校図書館 2名の中学校司書さんからの報告チラシ
平成23年4月 学校図書館の本を使っての
読み聞かせ・ブックトークの実演
低学年向き・高学年向き 
  2名の会員による実演   
チラシ
平成24年4月 学校図書館を生かして
宇都宮市立東小学校の実践
講師 日賀野 聡子氏   チラシ
      同校 元司書
平成25年4月 学校図書館に専門の司書を
どうして?それって必要?
私たちに関係あるの?
講師 水越 規容子氏 チラシ 
平成26年4月 図書館の管理運営のあり方を考える
 ~「指定管理者制度」と子どもの読書・住民サービスの保障~
講師 松岡 要氏    チラシ 
平成27年4月 すべての子どもたちのために学校図書館の充実を―『学校図書館法改正」を踏まえて― 講師 近藤 君子氏     チラシ
平成28年4月 司書と先生がつくる学校図書館
  ~本を読む喜びを届けて~

 
講師 福岡 敦子氏     チラシ
平成29年4月  子どもに読書のよろこびを
―学校図書館を考えるリーフレットから見えてきたこと―
学校図書館を考えるプロジェクトメンバーチラシ
平成29年11月  学校図書館に人を!
~情報交流紙『ぱっちわーく』にたずさわって~
 講師 梅本 恵氏   チラシ
 平成31年2月
 (2019年)
  読みたい心に火をつけろ!
 ~専任・専門・正規の学校司書ができる こと~
 講師 木下 通子氏  チラシ 
 令和3年2月
(2021年)
  未来を生きる子どもたちに、今、何が必要か―学校図書館が果たす役割―  講師 福田 孝子氏  チラシ

 この間に岡山市や山形県鶴岡市の学校図書館のビデオ上映・貸し出し事業など行ってきました。


10年ほど経って宇都宮市に専任・専門の司書全校配置など嬉しいニュースも有りましたが、栃木県の学校図書館を取り巻く状況は、まだまだ厳しいものです。

一緒に活動をしてくださる方募集しています


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