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おすすめ本です!
のぞいてみて下さい!


栃木子どもの本連続講座の今年のテーマは「フランス・ベルギー・オランダの子どもの本」です。


このコーナーでは、連続講座の講義の中に取り上げられた本を、ごく一部ではありますが、講座の順に取り上げ、紹介していきます。
                        おすすめ本
1:末松氷海子氏の講座

2:石津ちひろ氏の講座

3:野坂悦子氏の講座

4:西村由美氏の講座

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『王への手紙 上下』

トンケ・ドラフト
西村由美
岩波少年文庫



 16歳の少年ティウリは、騎士叙任式の前夜、見知らぬ男から助けを乞われ、儀式を抜け出します。そして、死にゆく騎士から、誰にも言わない約束をして、隣国の王への手紙と指輪を預かります。こうして見習い騎士ティウリの冒険が始まるのです。
ティウリは、赤い盾の黒い騎士たちに追われ、味方であるはずの自国の騎士たちにも秘密をうちあけられません。騎士(まだ見習いですが)としての矜持や勇気・誠実さだけを武器に、森を抜け、山を越え、川を渡り、時には囚われながらもティウリの旅は続きます。
リストリディン騎士をはじめ両国の騎士たち、わけをきかずとも助けてくれる修道士さま、森の小屋のマヌケ<}リウス、山の隠者メナウレスさま、ウナーヴェン王の道化師ティリロ、そして、ティウリの無二の親友となるピアック。魅力的な大人たちが、ティウリとピアックの旅を手助けします。もちろん、かわいらしいお姫さまとの恋も!
はたして、ティウリたちは無事に手紙を届けることができるでしょうか。手紙には何が書いてあったのでしょうか。ぜひ、この物語をティウリといっしょに旅してください。
なおこの作品は、オランダの児童文学の重要な賞である「金の石筆賞」を、2004年には「金の石筆賞の中の石筆賞」を受賞しました。見開きにある王国の地図もイラストも、作者の手によるものです。


『白い盾の少年騎士 上下』

トンケ・ドラフト作西村由美
岩波少年文庫

王への手紙』の旅を終え、騎士となったティウリ、そしてティウリの盾持ちとなったピアックのふたりは、春になったらと誘われていたリストリディン騎士の城を訪ねます。しかし、騎士は帰ってきません。楽しい再会の旅となるはずでしたが、やがてウナーヴェン王国を狙うエヴィラン国の陰謀に巻き込まれていきます。そして、前作では明かされなかった謎が解き明かされていくのです。
 原題は『野生の森の秘密』ですが、まさにティウリたちは今は誰も足を踏み入れない森の謎を探り、歴史を知ります。そして、大きな戦いへと物語は進んでいきます。そこには、人を傷つけることへの苦悩や美しい姫君の誘惑もあります。少年騎士ティウリは、ピアックの明るさ・誠実さ、ラヴィニア姫の勇気に支えられ、ふたたびウナーヴェン王国へと知らせを運んでいきます。
 トンケ・ドラフトは、第2次世界大戦中にオランダ領東インドで日本軍の収容所で3年間過ごしました。そのとき、お話を語る才能を発見したそうです。自由を求め、戦いを必ずしも善としないティウリの心は、その体験から育まれたものかもしれません。
 イリディアン皇太子の盾持ちであり、ウナーヴェン王の道化師ティリロが最後に歌う歌が、印象的です。
「わたしは剣と盾を下へ置く
    川の岸辺に。
    戦争はもうしない。」







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